INTERVIEW

バイオ・創薬部門 / 博士前期課程 2年

西岡 美玖

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研究への情熱と幼いころからの夢を叶えるために

私が大学院に進学した理由は2つあります。1点目に、学部4年生の研究活動量では満足できなかったからです。4年生の春に研究室に配属され、私は研究活動を始めました。自分が予想していた以上に、研究にはのめりこむほどの面白さがありました。自分が予想していなかった結果が出ても、次の実験をどうするか先生とディスカッションして練り直し、また実験するというサイクルが非常に楽しいです。また、なかなか成功しなかった実験で満足のいく結果が出た時の感激は忘れることができません。もっと研究を続けたいと心から思うようになりました。2点目は、将来像を考えた時、自分の能力をより高めたいと感じたからです。私は幼い頃から医療に興味があり、将来は医療に関係する仕事がしたいと考えていました。中でも、製薬企業や医療機器メーカーといった、医療現場に寄り添った製品を作る企業で研究職や開発職を志望していました。しかし、それらの職種は高度な思考力や技術力を必要とされていたため、大学院に進学し修士の学位取得を通じて成長しようと決意しました。

ヘルスシステム統合科学研究科は、文理統合型の研究科であることを活かして様々な分野の講義を受講することができます。医療に活かされている最新の工学技術だけでなく、医療倫理や法律についても学びます。理系学生にとっては、医療の歴史や倫理観についての講義には新鮮さがあると思います。私自身、文系の先生方の講義を受けたことで、現代の医療における課題についての視点がより俯瞰的になったと感じます。また、学生同士でディスカッションをする機会も多いです。学生同士の交流を通して、自分の視野を広げることができました。研究科の中で最もユニークな授業である病院実習も非常に充実した内容でした。光栄なことに生体肺移植の権威である大藤先生に講義をしていただき、非常に感銘を受けました。これも先進医療を行う岡山大学病院だからこそです。他にも、病院長から病院経営の在り方の講義を受けたり、各部署を訪問して医療従事者の方からお話を聞いたりできます。医学薬学系以外の学生が実際の医療現場を知る機会はなかなかありません。医療について座学の講義だけでは不十分だったことを痛感しました。最新の医療現場を体感し、医療の未来についてじっくりと考えられる有意義な時間でした。 本研究科に進学して学びを深める中で、さらに医療に携わりたいという自分の想いが強くなりました。また、研究活動を通して専門的な知識や技術だけでなく、自身の思考力も鍛えることができたと感じます。卒業後は、医療機器メーカーにて研究開発に携わる予定です。学生時代に得た医療に対する熱い思い、そして自らの技術力や知識とともに医療に貢献していきます。

私がこの研究科に入学した時点では、本研究科が設立されて間もなかったため、カリキュラムや授業内容が固まっていないのではないかと不安でした。しかし、昨年の問題点を解決できるよう授業を更新してくれたため、今後も授業の充実度は上がると思います。また、就職活動の際に企業の方が研究科に対してどのような印象をもつか分かりませんでした。実際には興味津々な様子で、研究科について質問をしてくれました。医療における課題解決というユニークな目標が印象的に映ったのではないかと思います。これまでの大学院生活の中で、日本分子生物学会にてポスター発表をしたことが忘れられません。発表までに十分な実験データを集めるのに非常に苦労しました。しかし、学会で自分の研究を紹介したり、企業や他大学の方とディスカッションしたりといった時間は非常に有意義でした。今後の研究についても新しい意見を得ることができました。また、他の研究者の発表を聴いて、彼らの研究に対する熱意を感じました。私もより一層研究に励もう、というモチベーションアップにも繋がりました。

現在の研究テーマについて

私たちの身体には、ウイルスやがん細胞といった体にとって有害なものを排除する「免疫システム」が備わっています。免疫システムは健康を維持するために重要なシステムです。私の研究では、免疫システムの詳細な制御機構を明らかにすることを最終目的としています。そのために、免疫システムにおいて中心的な役割をもつ細胞の機能を解明するべく、日夜研究に励んでいます。 私がこの研究に興味をもった理由は2点あります。1つ目は、工学部に所属しながらも基礎的な研究ができるからです。ものづくりをするためには、その領域の根幹となる知見が必要です。私は工学部の授業でものづくりについての知識を得るだけではなく、その礎となる分野についても学びたいと考えました。2つ目に、幅広い実験技術を身につけられるからです。私の研究では、遺伝子工学技術から実験動物の取り扱いに至るまで多くの実験を行います。将来、研究職を視野に入れていたため、多くの実験技術の習得が必須だと考えました。 私の研究の魅力は将来の医学の発展に寄与できることです。現在までに、免疫システムを利用して多くのワクチンや医薬品が作られています。私の研究が将来、未だに治療法がない疾患の原因の特定や新しい医薬品への応用に繋がれば、この上ない喜びです。

これから入学を考えている方々へのメッセージ

私にとって大学院生活は自分を見つめなおし、自分の未来をどう目指すのかを考え抜き行動する時間でした。楽しいだけでなく、涙が出るほど苦労することもありました。しかし、この経験は他の何にも代えがたく、自分の血肉となり、将来へ繋がっていくと思います。 大学院での2年から5年の歳月は長いようであっという間に過ぎていきます。ヘルスシステム統合科学研究科では、バリエーション豊かな講義、研究があります。自分が大きく成長できる絶好の機会です。医療に携わりたいという志がある方にとっては自分の志をさらに高める機会になると思います。医療に興味がなかった方にとっては新しい世界が開けることでしょう。