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研究科長からのメッセージ

ヘルスシステムにおけるイノベーションサイクルを循環させる能力の育成

研究科長 横平 徳美

人類がこれまでに経験したことのない超高齢社会において発生すると予想されるヘルスシテム(医療や介護の現場を構成する人々と仕組み)に関する様々な課題の解決を目指して、医療系・人文社会科学系・工学系の分野を有機的に連携した教育と研究を推進することを目的として、本研究科は、平成30年4月に岡山大学の8番目の研究科として発足して4年が経過しました。

本研究科の人材育成目標は、医療・福祉における社会のあり方や課題を受け止め、学術的知見の創造・活用により多様な分野の専門家と協同して、新たなものづくりや社会の仕組み作りができる人材を育成することであります。すなわち、ヘルスシステムにおける現場の課題やその背景を「抽出」・「整理」(課題発見)し、それを分析して解決課題を「設定」(課題設定)し、アイデアやものを「創り」(解決策創造)し、それを現場に「適用」(解決策実施)することで、現場の「改善」につなげるというイノベーションサイクルを循環させる能力の育成を主眼としています。

この人材育成目標のために、本研究科では「統合科学」と呼ぶ新しい学問に基づいて、ユニークな教育を実施しています。学生は、医療系・人文社会科学系・工学系それぞれにおける視座・方法論や学術的方法を学び、演習や実習を通して課題の発見・設定と解決策の創造や実施を体験します。これにより、医療・健康科学分野において今後の人間社会を支える新たな技術や制度を創造し、さらにソーシャルイノベーションを通してこれらを社会実装できる高度人材に成長すると期待されます。

研究科を修了して授与される学位は、博士前期課程では「修士(統合科学)」、博士後期課程では「博士(統合科学)」です。この「統合科学」という学位名称は、本研究科設置に伴い我が国で新しく認められた初の学位名称であります。 医工連携・文理融合を特徴とする本研究科の教育・研究は、高齢化社会へと移行しつつある人間社会において斬新かつ時流に即したもので、本学も推進している国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成のための人材輩出に大きく貢献できるものと確信しています。今後もこの特徴を活かして、産学連携・地域連携を発展させるとともに、海外の大学・研究機関と互恵的国際連携を強化し、積極的な学生派遣・留学生受入れや共同研究を推進していきます。 学生のみなさん、我々と一緒に「統合科学」という新しい学問を追求することにより、人間社会の未来を切り拓く人材へと成長しましょう。

(令和4年4月1日)