ヒューマンケアイノベーション部門宗教人間文化論分野
正教修道思想における身体観
私たちにとってからだ(身体)とは何だろう?精神(心、魂)とからだはどのように関連しているのだろうか?からだが死ぬことが「人間にとっての死」なのだろうか?人間のからだをめぐるこのような疑問について、キリスト教の世界ではどのような議論がなされてきたのかということを解明することが本研究の目的です。言い換えるならば、キリスト教の歴史において、人間のからだがどのように捉えられ、理解され、定義づけられてきたのかを解明することが本研究のめざすところであるということです。キリスト教では、神の受肉や(身体を伴った)死後の復活の信仰、さらに、典礼における聖体拝領など、教義や典礼の中心に「からだ」がありますが、本研究の中で特に着目しているのは、キリスト教の修道士(女)たちの修行における「からだ」の扱いについてです。日本ではあまり知られていませんが、カトリックやプロテスタント諸派と並んで規模の大きな(東方)正教というキリスト教のグループ(ロシア、ギリシア、ルーマニアなどスラブ、バルカン、東欧諸国を中心に今日でも多数の信徒を擁しています)があり、正教の修道士たちは一見すると禅やヨガにも通じるような呼吸法や座法を伴った修行方法を実践していたことがありました。本研究では、この正教の修道士たちの思想や実践を研究対象の中心に据え、「からだ」をめぐるキリスト教の人間観の解明を進めています。
研究室データ
ヒューマンケアイノベーション部門 宗教人間文化論分野
講師 袴田 玲