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ヘルスケアサイエンス部門生体機能再生再建医学分野

失なわれた光を再び!〔光電変換色素薄膜型人工網膜 OUReP の医師主導治験〕

岡山大学方式の人工網膜(OUReP/オーレップclassⅢ医療機器)は、光電変換色素をポリエチレンフィルム表面に化学結合させた世界初の新方式「光電変換色素薄膜型人工網膜」である。従来型の人工網膜が電流(伝導電流)を出力して神経細胞を刺激するのに対して、OURePは光を受けて電位差(電気双極子・変位電流)を生じ、近傍の網膜神経細胞を刺激して視覚を生む新方式で、2002年から岡山大学大学院自然科学研究科高分子材料学の内田哲也研究教授と医工連携の開発研究を進めている。硝子体手術で網膜下に植込むOURePは、光応答性が迅速で解像度が高く、得られる視野も広いと期待される。2013年1月以来、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)と相談を重ね、2022年には、岡山大インキュベータで製造した治験機器で、医師主導治験を開始できる見込みである。他方、OURePを含む現行の人工網膜は視細胞の代替で、視細胞が死滅する疾患(網膜色素変性や加齢黄斑変性)には効果があるが、脳に連絡する視神経が死滅する疾患(緑内障)には効果がない。この解決に向けて、人工神経の開発も始めている。

研究室データ

ヘルスケアサイエンス部門 生体機能再生再建医学分野
教授 松尾 俊彦