医師のように自律性志向が強く、組織へのコミットメントが相対的に弱いとされるプロフェッショナルをマネジメントすることの難しさが指摘されてはいますが、医師がどのようにしてマネジメント・スキルやリーダーシップを獲得して病院のトップ・マネジャーになっていくのかに関する実証研究はありません。トップ・マネジャーとなった医師は、プロフェッショナルとしての医師の役割を維持したまま、リーダーとして病院経営においても戦略策定やその実行において責任を果たさなければなりません。それ故に、医師における専門職から管理職へのキャリア・トランジションにおける葛藤も大きく、上手く脱皮できない医師も多い。日本においては、修練を積み重ね、優秀な医師がトップ・マネジャーである院長に選ばれます。しかしながら、同じように臨床医として優れ、同じようなキャリアを歩んだにもかかわらず、なぜ病院のトップ・マネージャーとして優れた業績を上げることができる医師、もしくは、そうとはいえない医師が存在するのかという問題意識を背景に、医師を対象としたリーダー発達に関する実証研究を行っています。