ヒューマンケアイノベーション部門科学史技術論分野
医学における検査値およびその判断基準の出現と展開
現代の医療においては、医師が検査結果として得られた数値(例えば血圧や中性脂肪など)を、ある判断基準に則って判断し、それに基づいて診断や治療を行うという行為が日常的になされています。本研究では19世紀から21世紀にかけての欧米と日本の事例から、どのような歴史的経緯で検査値を判断するための基準が作られたのか、そしていかにしてある数値を「健康」と「病気」あるいは「正常」と「異常」の境界とみなすことが正当化されたのかを分析し、検査値に基づいた医療が当たり前となっていった経緯と要因を解明しようとしています。さらに、検査値を判断するという行為と、「健康」のような特定の生のあり方に人々を導く権力システムとはどのような関係にあるのかについても考察しています。研究成果の一部は雑誌『哲学・科学史論叢』と『科学史・科学哲学』に掲載されました。
研究室データ
ヒューマンケアイノベーション部門 科学史技術論分野
教授 吉葉 恭行
助教 古俣 めぐみ