ヒューマンケアイノベーション部門日本文化論分野
「迷惑をかけたくない」とは、どういう意識か? 国や地域をこえた分野横断的研究の試み
超高齢社会の現代日本において、老い・看取り・死をめぐる様々な場面で、多くの人が「家族や子どもに迷惑をかけたくない」(〈迷惑〉意識)を抱き、それが医療や介護に関わる選択において重要な判断基準となることがあります。また〈迷惑〉意識を抱くことによって、他者からの支援を拒否し孤立したり、「迷惑をかけるくらいなら死にたい」という思いを誘発したりするなど、生き方の質の低下を引き起こすこともあります。このような問題を生み出すにもかかわらず、この意識に関する研究はほとんどなされていません。
本プロジェクトは〈迷惑〉意識とその背後にある思い・感情とそれらの複雑な関係(〈迷惑〉意識の複合性)と、その歴史的形成過程とに着眼して、日本および海外の〈迷惑〉意識のあり方を検討しています。そのうえで、海外の〈迷惑〉意識と対比することを通して、日本における〈迷惑〉意識のあり方を解明します。本研究によって、老い・看取り・死に向き合う人々の本当の思い・感情を認識する契機を生み出し、将来的にはより適切なケアのあり方や医療・介護システムの構築を目指しています。
本プロジェクトは、2025年度に科研費・基盤研究A(課題番号25H00460)に採択されています。

研究室データ
ヒューマンケアイノベーション部門 日本文化論分野
教授 本村 昌文