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2024.04.25

<プレスリリース>さまざまな神経学的障害に関与するAAK1に対する阻害剤の開発に成功!~既存の阻害剤を用いた手法により、迅速な創薬サイクルへの応用が期待~

◆発表のポイント

  • ・タンパク質リン酸化酵素は細胞内の情報伝達機構を制御する酵素として、がんをはじめとするさまざまな疾患に関与しており、これを標的とした多くの阻害剤が米国食品医薬品局にて治療薬として認可されています。
  • ・既存のリン酸化酵素阻害剤を利用することで、新たなリン酸化酵素Adaptor Protein 2-Associated Kinase 1(AAK1)に対する選択的阻害剤の開発に成功しました。
  • ・リン酸化酵素阻害剤に相互作用する酵素同定から始まる新たな阻害剤開発法は、タンパク質リン酸化酵素を分子標的とした迅速な創薬サイクルへの応用が期待されます。

 岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の德光浩教授の研究グループと学術研究院教育学域の石川彰彦教授の研究グループは、学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授、自然生命科学研究支援センターの砂月幸成准教授、スウェーデンのルンド大学のUlf J. Nilsson教授との国際共同研究により、機能プロテオミクス、有機合成化学、生化学、細胞生物学、分子ドッキングシミュレーションを用いることで、既存のタンパク質リン酸化酵素阻害剤からリン酸化酵素AAK1 に対する新たな選択的阻害剤の開発に成功しました。
 本研究成果は、AAK1が関連すると考えられる神経障害性疼痛やさまざまなウイルス感染に対する治療薬への応用の可能性だけではなく、このリン酸化酵素阻害剤開発法が、多くの費用と時間を要する創薬開発において有用な手法となることが期待されます。
 本研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に、2024年3月20日付でオンラインにて掲載されました。

本研究に携わった德光教授(左端)および石川教授(右端)の研究チームメンバー

◆研究者からひとこと

有機合成化学、酵素学、細胞生物学からコンピュータシミュレーションまで、さまざまな研究・解析手法と専門分野の国内外の研究者および大学院生が集まって成し遂げたMultidisciplinaryな研究成果です。とてもエキサイティングな時間でした。この研究により、創薬開発を加速させることができることを期待しています。

 

■論文情報
論 文 名:Development of a novel AAK1 inhibitor via Kinobeads-based screening
掲 載 紙:Scientific Reports
著  者:Akari Yoshida, Satomi Ohtsuka, Fumiya Matsumoto, Tomoyuki Miyagawa, Rei Okino,Yumeya Ikeda, Natsume Tada, Akira Gotoh, Masaki Magari, Naoya Hatano, Ryo Morishita, Ayano Satoh, Yukinari Sunatsuki, Ulf J. Nilsson, Teruhiko Ishikawa, Hiroshi Tokumitsu
D O I:10.1038/s41598-024-57051-9
U R L:https://www.nature.com/articles/s41598-024-57051-9

■研究資金
本研究は、科学研究費補助金(JP21H02429)および公益財団法人山陽放送学術文化・スポーツ振興財団学術研究助成の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
さまざまな神経学的障害に関与するAAK1に対する阻害剤の開発に成功!~既存の阻害剤を用いた手法により、迅速な創薬サイクルへの応用が期待~[PDF]

<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域 バイオ・創薬部門
教授 德光 浩
(電話番号)086-251-8197 (FAX)086-251-8197

岡山大学学術研究院教育学域
教授 石川 彰彦
(電話番号)086-251-7639 (FAX)086-251-7639